天草だより(おしらせBLOG) > 旅・ニセコ 知床 小笠原 九州島

『三風四雨、早春漕海』      【四】 川内原発


024
『許可なく入港を禁ず』 川内原子力発電所。港の入り口にて。

 待ち焦がれた北西の風が吹き、昼前から波頭が少し白くなる。
追い風に乗って進む。
 この日、デジカメのバッテリーがなくなる。

 朝凪の海へ出発後、
原子力発電所そばの果てしない堤防『一文字』に沿って漕ぐ。
川内川の河口に沿って延々と続いている。
沖では見張りの船が霧の中に。

 異常に暖かい海水。淡水なのか重い水。横殴りの雨。
川の河口が起こす独特の波。 易しいフェリーグライド。



 



028
 テントを張った場所は昔、北朝鮮による拉致があった場所だから
気をつけなさいと地元の方々からいわれる。

原発をすぎるとすばらしいロケーションの海だ。
紀伊半島の芦浜を思い出させた。
原発を作る場所はどこもすばらしい自然が残されている。
その自然の真っ只中に建設されている。

 牡鹿半島もすばらしい自然だ。建設中止になった紀伊半島もそうだ。
他にもいっぱいあるだろう。
 

 人の気配のないビーチ、洞窟、岩肌を白い筋となり流れ落ちるたくさんの滝。
誰も見ることはないだろうし、また、カヤッカー以外が興味ももたないだろう。
釣り人は陸の上のことは関心がない。

 ビロウが群生する険しい断崖。ミサゴが警告音をならして舞う。誰もいない。

 ひどい雨だ。
岩場の間は瀬になっている。
流れている海に叩きつける大粒の雨。風。
沖は霧で真っ白。
 すぐに羽島崎を越えた。


 羽島白浜でトイレに上がる。ゴミだらけの臭い海。
ひどい雨後で川からいろんなものが流れ出したのだろう。

 この日、ダンパーのサーフでペットボトルをなくす。
それにしても汚水の匂いがきついひどい場所だ。
 生下水が流れ込むとこうなる。
工場の排煙と異臭。

 光と影だ。


 北風が強く吹き、カヤックは飛ぶように進む。
一気に串木野港沖を抜けた。

031
ロースかつ定食。国民宿舎の展望レストランにて。

 ハマグリのお吸い物に満足。千葉の片貝海岸以来だ。
食堂を利用するとゴミが一切でないのがよい。
実はこの2時間前にジョイフルでロースかつ定食を頼んでいたりする。
どうやら、忘れて同じものを頼んだみたい。


 市来浜に上陸。テントは監視塔の上に張る。今夜から
気圧配置が強い冬型になるのではと、テントを張る場所を迷う。

国民宿舎の温泉¥250 。受付で携帯とデジカメの充電を頼む。
旅のキーワードは挨拶と笑顔と親切。

 市来串木野はコインランドリー、コンビニ、ジョイフルがそろった便利なポイントだ。

 乾いたものは一つもなかったので全部乾燥機にぶち込む。
 果物を扱う産直のお店とコインランドリーを経営されているご夫婦から、
二階が開いているから泊まっていけとしきりに勧められて。

 自転車の人たちも泊まったりするそうだ。
なるほど。コンパクトに温泉やらレストラン、コンビニがまとまっていて
旅人には便利です。
 
 ご夫婦に今度きた時にお願いしますと丁寧にお断りすると
『今度あんたが着た時には、もう生きとらんかもしれんから泊まっていきなさい』ということだった。

 この後、あちらこちらで高齢化と過疎を見ることになる。


 

Add Comment

このアイテムは閲覧専用です。コメントの投稿、投票はできません。