天草蜆汁
- Category: 話半分コラム 道具 技術
- 2012年02月19日
蜆が旬を迎えています。
子供の頃、父に連れられてセリ摘みと蜆採りは早春の思い出です。
我慢強さと辛抱強さはこのあたりから培ったものでしょう。
30年後の今も、この天草にはその自然がそのままにあります。感謝。
川面に立ちこんで、水の入った長靴で
絡まったカガシラの仕掛けを悴んだ手で解いたり
水場で蜆と小石や枯葉を笊を用い選別したり
積んだセリを何度も水洗いし、枯れ草やクサを取り除き
外の水場で吹きさらし。
開発が進み今では蜆も消滅し、
田畑のあぜと小川がなくなり、セリも採れなくなりつつあります。
蜆は山の中の洞窟の中を流れる清水の中で採りました。
ヘッドランプに驚いて飛び交う無数のキクガシラコウモリや
壁を覆う数千のゲジゲジ。
いずれも消滅しましたが、
その動いてる壁に手が触れた瞬間の、
背筋のぞっとする感覚は今でもこの手に残ります。
上品な方にはお勧めしませんが、
ダシが効いて今でもこれをやります。
熱々の蜆汁の殻を除き実だけにして、
その御汁を熱い飯にかけて食べるのが大好きです。
子供も真似をするのは、何をどのように食べると
美味しいか分かっているのでしょう。
いくつかでも、子供たちに生活のすべを伝えられればと思います。
よい思い出というのはそんなささやかなものなのでしょう。